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アーカイブ: 6月 2017

アルツハイマー病 と 歯周病

6月4日(日)~10日(土)は歯と口の健康週間です!

今年の標語は、『 「おいしい」と「元気」を支える丈夫な歯 』です

と日本歯科医師会のホームページに記載されております。
皆さん、「歯と口の健康週間」のことをご存じでしょうか。

これは、厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会が1958年(昭和33年)から実施している週間で、もともとは1928年(昭和3年)に日本歯科医師会が、「6(む)4(し)」にちなんで6月4日に「虫歯予防デー」をスタートさせ、それが現在の「歯と口の健康週間」へ続いているものです。

さて、冒頭の標語の「元気を支える」の部分について、歯が健康であれば元気なのは当たり前と皆さん直観的に納得されると思いますが、それを科学的に裏付ける研究データがたくさん報告されていますので、その中の一つをご紹介致します。

日本大学歯学部の落合邦康特任教授(口腔細菌学)らの研究チームが、歯周病菌が作り出す「酪酸」がアルツハイマー病を引き起こす一因になる可能性があるという研究結果を5月12日の日本歯周病学会で報告しました。

落合教授は、口腔内や腸内細菌と全身疾患の関連についての研究が専門で、2016年11月30日のNHKのTV番組「ガッテン!」をはじめ他の番組にも出演され、口内フローラ(口腔内の細菌群)健康について解説されています。

歯周病患者の歯と歯肉の隙間の歯周ポケットからは健常者からの10倍以上の酪酸が検出され、その酪酸が血流に乗って脳内細胞に取り込まれ脳細胞にダメージを与える酸化ストレス物質(ヘム、過酸化水素、遊離脂肪酸)を生成することで脳細胞が傷つくことをチームはすでに報告していますが、今回の研究では、健康なラットの歯肉に酪酸を注射し6時間後に海馬や松果体、下垂体、大脳、小脳の酸化ストレスの状態などを分析したそうです。

酪酸を注射したラットは、通常のラットに比べ、全ての脳の部位で平均35~83%も酸化ストレス物質の濃度が上昇しており、中でも海馬での上昇率が最も高く、アルツハイマー病の患者の脳神経細胞内で異常蓄積するたんぱく質「タウ」の量が平均42%も増加していたそうです。

また、細胞の自殺を誘導する酵素「カスパーゼ」の活性も海馬で平均87%増加していたとのことでした。
今後は歯肉から脳内にどれだけ酪酸が入り込むのか、酪酸を注射した動物がアルツハイマー病を発症するかどうかを検証する予定とのことです。

アルツハイマー病の発生機序が完全に解明されているわけではないので、今後更なる研究報告が待たれますが、糖尿病、早産、骨粗鬆症、動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎など様々な全身疾患と歯周病の関連についてもすでにたくさんの報告がされており、日本人成人の80%以上が罹患していると言われている歯周病対策を怠らないことが、健康への近道であることは確かだと言えるでしょう。

自分はちゃんと歯磨きしているから歯周病なんて関係ないと考えておられる方も、毎年6月にはご自分の歯や歯茎をじっくり見て頂き、歯科医院の定期健診の予約をとってもらえると嬉しく思います。

歯科医師 富永克子

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ひ・み・こ の歯がい~ぜ。

みなさんこんにちは!紫陽花の花が綺麗な季節になりましたね!

ところでみなさん、よく噛むことが健康に繋がるという話を聞いたことはありませんか?
美味しいものを食べることは、生きていく上でとても重要なことです。
良い『歯』でよく『噛む』ことが健康に繋がる理由についてご紹介しようと思います。

良い『歯』ってどんな歯?

・虫歯
もちろん虫歯ではない歯を真っ先に思いつくと思います。
虫歯によって穴の空いてしまった歯でご飯を食べてもうまく噛むことができません。

・噛み合わせ
噛み合わせも重要です。
各々の方にあった歯並びをしていることが、上下の歯でものを噛む際にとても重要となってきます。

歯だけではありません、歯の周りを支える「歯周組織」の状態も『噛む』ことにとって非常に重要な因子の一つとなります。
みなさんは歯周病という言葉を聞いたことがあると思います。
歯周病は日本人の8割以上が罹患していると言われており、歯の周りの骨を溶かしてしまい、歯を失う原因の一番の第1位という、とても怖い病気なのです。

よく噛むと、どんないいことがある?

はるか昔のご先祖様たちに比べて私たちは食事の時の噛む回数が大幅に減ったと言われています。弥生時代、卑弥呼の時代には調理方法も発達しておらず、消化を良くするためによく噛んで食事をしていました。一回の食事で噛む回数は4000回程度、1時間近く食事をしていたと言われています。
現代では一回の食事で噛む回数は600回程度しかなく10分程度で食事を終えています。そのため現代人は、昔に比べ、アゴが小さくなり歯の数が減ってきているのです。アゴが小さくなると、アゴを支える周りの筋肉量が減り噛む力が弱くなってしまいます。歯が少なくなると噛む『面』の面積が小さくなり噛む効率が下がってしまいます。

『よく噛む』と健康にいい理由

『よく噛む』と健康にいい理由は、大きく8つあります。私たちの世界では頭文字をとり『ひみこのはがいーぜ』と言われているんです。

・(まん)肥満をふせぐ

よく噛まないと、満足感がなかなか得られません。よく噛むことで満腹中枢を刺激することで肥満を防ぐことができます。

・(かく)味覚の発達

よく噛むと唾液が出ます。湿った口の中では食べ物本来の味を味わうことができ、味を感じる味蕾という組織を刺激することで味覚の発達を助けます。

・(とば)言葉の発音がはっきり

よく噛むと口の周りの筋肉が使われます。その効果ではっきりと発音ができるようになります。

・(う)脳の発達

よく噛むことで脳の血液循環がよくなり脳の細胞が活性化し、発達を促します。

・()歯の病気を防ぐ

よく噛むと唾液が多く分泌され、口のよごれを洗い流してくれます。また酸性に傾いたくちの中を中性に戻す役割があります。

・(ん)がんを防ぐ

唾液の中に含まれる酵素により、食品の発ガン性物質を消す

・(ちょう)胃腸の働きを促進

よく噛むことで消化酵素が出て内臓の働きを助けると言われています。

・(んしん)全身の体力向上と全力投球

しっかり噛める良い歯があると、脳に活力を与え、必要な時に歯を食いしばり、全力を出し切ることができます。

『良い歯』で『よく噛む』ことでたくさんのいいことがあります。

皆さんもよく噛んで、食事を楽しみ健康な生活を送りましょう!

歯科衛生士 石川清花

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