アーカイブ: 7月 2017
あなたの割れた歯はまだ残せる⁉
皆様こんにちは。
花火大会が待ち遠しい季節となりましたね。
厳しい暑さが続きますが、これからの夏のイベントを楽しんでください。
今回は割れた歯の治療・予防についてお話ししたいと思います。
それまで全く問題無く普通に使っていた歯が、ある日突然縦に裂けてしまう事があることをご存知でしょうか?
このように歯の根が割れたり、ひびが入ってしまうことを「歯根破折」といいます。
歯根破折は虫歯、歯周病に次いで歯を失う原因の3位に位置しています。
今回は誰にでも起こる可能性がある歯根破折についてお話したいと思います。
まず、歯の破折には割れている場所により歯冠破折、歯冠歯根破折、歯根破折の3つに分類されます。
歯の見える白い部分である歯冠部が割れることを歯冠破折、歯冠から歯の根にかけて割れているものを歯冠歯根破折、この中でも歯根破折は、歯茎の中に埋まっている歯の根っこが割れることを歯根破折と呼びます。
見えない部分なので気付くのが遅れがちです。
また、歯根破折を起こしていても痛みが出ない場合があります。
破折に気が付かない、気付いても日常生活に支障がないため放置しがちです。
しかし破折するとその隙間から細菌が入り込み炎症をおこします。炎症は周辺の歯茎や顎の骨にまで広がり、最悪の場合顎の骨を溶かしてしまいます。
歯根破折の症状
・歯がしみる
・歯が痛い
・噛むと痛い
・歯茎がうずく
・歯茎が腫れる
・歯がぐらぐらする
<歯根破折を起こす原因>
歯根破折になる歯の多くは虫歯治療で神経を取った歯です 神経を取るということは重症の虫歯だったということですから、それまでにたくさん歯を削っている可能性が高く、既に脆くなっているのです。
・何度も治療している歯
健康な歯に比べて歯を削って細く小さくしているため、治療を何度も繰り返すことで弱ってしまいます。
・歯ぎしりや食いしばりの癖がある
歯ぎしりや食いしばりは歯にかなりの負担がかかる為、歯根破折のリスクが高まります
・金属の土台が入っている
神経を取った歯の土台が歯より硬い金属の場合、柔らかい歯の方に力が集中してしまい歯根破折のリスクが高くなります。
また、歯を削る量が多く歯が薄くなるのも原因の一つです
・転倒、ぶつける等の歯への外傷
上の前歯に多く、強い力がかかることにより割れる事があります。事故の場合は防ぐことが出来ませんが、スポーツを行う際は出来るだけスポーツマウスピースを付け、外傷から歯を守りましょう。
<治療法>
・口腔内接着法
比較的小さい破折の場合は、歯を抜かずに口腔内で接着処理をする。抜歯や固定の必要がないので身体への負担が少なくすみます。
(1)口腔外接着再植法
一度抜歯を行い、特殊な接着剤で破折した部分をきれいに修復し、再び抜歯窩に歯を戻します。1ヶ月程固定をして定着させます。
抜歯をするので修復と炎症部分の除去を確実に行えます。
(2)割れている根だけ抜歯 部分抜歯
奥歯で根の数が複数ある場合は、割れる根だけを切断して抜歯します。
<歯根破折を防ぐ方法>
・虫歯を早めに治療
・神経を残す治療法
・金属の代わりにグラスファイバーの土台をいれる
・マウスピースの着用
従来、歯根破折した歯の治療法は基本的に抜歯でした。
これは割れた部分から細菌が入り、炎症を起こすことにより顎の骨が失われるため、原因となる歯を根こそぎ取る必要があった為です。
今では歯根破折を治療するための研究が進み、治療することで従来抜歯せざるを得なかった歯でも助かるケースが増えてきました。
治療するより歯を抜く方がずっと簡単です。
しかし自分の歯で食べたい、歯を抜いて欲しくないと願う患者さんが殆どです。
近年確立されて、また新たな接着技術により一人でも多くの方の歯を抜かずに保存する、私たちは少しでもそのお手伝いが出来れば幸いです。
歯科医師 岸結城
2017年7月20日 カテゴリ:未分類