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アーカイブ: 3月 2018

WDAI BASICCOURSEへ参加してまいりました

待ちに待った春到来ですね。皆様いかがお過ごしですか。

先日、ストローマン・ジャパン協賛の WDAI BASICCOURSE< へ参加してまいりました。

WDAI は Women   Dental   Academy   for Implantology の略式名で、インプラント治療を主軸とした包括的臨床を志す全ての女性歯科臨床家(歯科医師、歯科衛生士および歯科技工士、その他すべての歯科関係者)の研修、活躍支援することを目的とした学術団体です。

設立者には日本歯科大学でご活躍されている柳井智恵先生はじめ、東京医科歯科大学の立川敬子先生、ご開業をされている田中道子先生、渥美美穂子先生など多くの先生や歯科衛生士の方がいらっしゃいます。
今回のコースでは幸運なことに上記の先生方から直々に講義・実習の指導を受けることができました。
中でも最も印象深く、皆様のお役にも立てるような講義内容についてお伝えしたいと思います。

<欠損歯列の診査・診断と治療計画>

田中先生はインプラント治療に長く携わってこられた先生で、膨大な臨床経験をお持ちです。
ご自身でも私の人生の半分はインプラントとおっしゃっていたほど、インプラント治療に大変情熱的でいらっしゃいます。
そんな先生ご自身が経験された多様な症例をお話しいただきました。

その中でも、皆様にもお伝えしたいこととして

「歯の欠損数があるラインをこえると進行性病変となり咬合崩壊を招く。
咬合支持域を失った欠損歯列に戦略的にインプラントを配置することによって確実な咬合支持を獲得できる。」

ということが挙げられます。

つまり、インプラント治療は失った機能を回復させるだけでなく、他の残った歯を守る防波堤の役割も担っているということです。
例えば、奥歯がすべてなくなってしまって前歯だけで噛んでいたり、奥歯があっても上や下の顎に相手となる歯がなく、すれ違いの咬み合せになってしまっている場合は、そのままの状態にしておくと残っている歯が一気に抜けてしまう可能性が高いのです。

上下の歯に加わる最大の力は成人男性で前歯で 15 キログラム、犬歯で 25 キログラム、小臼歯で 40 ~ 50 キログラム、大臼歯で 60 ~ 70 キログラム程度と言われますが、個人差はあるものの様々な歯種おおよそ計 28 本で支えていたこれらの咬合力を、歯を失った残りの歯で支えていかなければならなくなった時、残りの歯に過度な負担がかかるのは容易に想像がつきますね。

少し専門的になりますが、インプラントの埋入計画を立てる時の一助となる残存歯の診査方法に Eichner の分類、宮地の分類というものがあります。

Eichner の分類とは臼歯部での咬合支持域を左右それぞれ小臼歯群、大臼歯群の4つのグループに分け、その支持域内で対合関係があるグループを A 、4つの支持域全てには対合関係がないグループを B 、対合関係のまったくないグループを C とします。

さらに、臨床的に重要になってくる B グループの中で、 3 つの支持域に対合関係があるものを B1 、 2 つの支持域に対合関係があるものを B2 、 3 つの支持域に対合関係があるものを B3 、支持域外(前歯部)に対合関係があるものを B4 とします。

宮地の分類は咬合支持数と歯数の 2 つの指標により無歯顎までのすべての欠損歯列を 4 つのエリアで表現します。
この 4 つのエリアは、欠損歯列の難症例の範囲を客観的に確認でき、また難症例までの距離を大まかに捉えることができます。
先ほどのあるラインとは、 Eichner の分類でいう B3 や B4 を、宮地の分類ではハイリスクエリア咬合支持数 6 ー 5 を指します。
このラインをボーダーラインとし、さらなる咬合崩壊を招く前にインプラントによって新たに咬合支持を確立することが、咀嚼機能の維持安定につながるため、治療計画を立てる上で大変重要になってきます。
まさに田中先生が「戦略的に」とおっしゃっていた部分だと思います。
私も大変重要なポイントをご教示いただき、日々の臨床での考え方の整理ができました。

最後になりますが、田中先生が私達に伝えてくださった言葉があります。

「薫習 ( くんじゅう ) 」

物に香が移り沁むように、あるものが習慣的に働きかけることにより、ほかのものに影響、作用を植え付けること
インプラント治療にかかわらず、歯科医師として臨床に関わること全てを自身に沁み込むように日々学び続けるという理念が深く心に響きました。

これからも皆様のお力になれるように全力をつくしてまいります。

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