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口腔がんについて知ろう

10月に入り秋の気配が感じられる頃となりましたが、まだまだ暑さが厳しい日が続いております。
今年は例年にない暑さが続いておりますので、水分補給や適度な休息を心がけてお過ごしください。

今回は健康を脅かす口腔がんについてお話したいと思います。

①口腔がんの定義・疫学

口腔がんとは、口の中にできるがんの総称です。
身体にできる全てのがんに対する口腔がんの割合は約1~3%です。
頭頚部がんに対する口腔がんの割合は約40~60%です。
男女比は3:2で男性に多くみられ、好発年齢は50~60歳代です。
口腔がんは、発生する部位によって以下の名称が付けられています。
舌にできる舌がん、歯茎にできる歯肉がん、頬の内側にできる頬粘膜がんなど口腔内の様々な部位に発生する可能性があります。口腔がんの中で特に多いのが、舌がんで約半数を占めています。

②原因は?

口腔がんは他のがんと同様にまだ原因解明されていない点も多くありますが、口の中に特殊な刺激が持続的に加わる事が関係しているとされています。
特殊な刺激とは以下のような例があります。

●喫煙

口腔がん最大の危険因子は喫煙です。
タバコの煙には多くの発がん物質が含まれています。
日本人を対象とした報告では喫煙者は非喫煙者に比べて口腔・咽頭がんに罹患する確率が約2.4倍になるとされています。
さらに喫煙者の中でも、累積喫煙指数(1日喫煙数×喫煙年数)が60以上であれば口腔・咽頭がんになる確率が非喫煙者に比べて約4.3倍になるとされています。
口腔・咽頭領域は喫煙の影響を受けやすく、特に顕著な部位は下咽頭です。
下咽頭がんは、喫煙者のリスクが非喫煙者に対して約13倍で、累積喫煙指数が60以上の者は約21倍にもなります。

●飲酒

飲酒は、喫煙に次ぐ危険因子です。
日本人を対象とした報告では、男性の場合、非飲酒者と比べて週1日飲酒する者は約1.8倍のリスクがあります。
その中でも週にエタノール300g以上(1日平均2合以上)飲酒するグループは約3.2倍のリスクがあります。
喫煙と同様に、口腔・咽頭の中で飲酒の影響を一番受けやすいのは下咽頭です。
週一回の飲酒者は、非飲酒者に比べて下咽頭がんのリスクが約3.3倍、さらに週に300g以上のエタノールを摂取する者は約10.1倍のリスクがあります。

飲酒と喫煙を両方行うことで口腔・咽頭がんのリスクが高まることが男性を対象とした研究で分かっています。
飲酒量は少ないが喫煙するグループと飲酒量は多いが喫煙しないグループではどちらも約2倍のリスクですが、飲酒量が多く喫煙を行うグループでは約4倍のリスクになると分かっています。
女性の場合でも同様に喫煙と飲酒は口腔・咽頭がんのリスクとなります。
女性の喫煙者は約2.5倍、週に150g以上飲酒する者は約5.9倍となります。
以上の統計より、喫煙しないこと、飲酒量を少なくする事が口腔・咽頭がんの予防で重要であると分かります。

●口の中の不衛生
多量のプラークや歯石、重度の虫歯や歯周炎の放置、などの口腔衛生状態が悪いとがんのリスクとなります。

●慢性的な刺激
お口の中に加わる慢性的な刺激とは、不適合の義歯を長期間使用することや歯の鋭利な部分が舌や頬の粘膜に当たり続けることなどです。
この様な物理的な刺激が長期に亘って加わることでがん化する可能性があります。

③予防法は?早期発見するには?

がん予防は一次から三次まであります。
・一次予防はがんにならないための予防です。

ご自身で生活習慣を整えることが重要になります。

以下のことを日頃から気をつけるようにしましょう。

1.たばこを吸わない、飲酒量を控える。
2.偏食をせずに栄養バランスの良い食生活を心がける。
3.歯磨きを丁寧に行い、口の中を清潔に保つ。
4.合わない入れ歯、破れたかぶせ物、治療していない虫歯があれば放置せずに歯科治療を受ける。
5.適度な運動を行い、適正体重を維持する。

・二次予防は、がんを早期に発見し治療することで、がんの広がりを抑えること、がんによる死亡を減らすことが目的です。
ご自身でお口の中に異常を感じたら、早めにがん検診を受けましょう。

・三次予防はがんになった後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図り社会復帰のためのリハビリテーションを行うことです。

④口腔がんのセルフチェック

初期の口腔がんは無症状なこともあるため、ご自身で手鏡を持ちお口の中をチェックしましょう。
用意するものは、手鏡と指に巻くガーゼやティッシュです。
以下に書かれている順番にチェックしていきます。
まず、明るい場所で手鏡を持ちお口を大きく開けましょう。
入れ歯をしている場合は外しましょう。

1.上下の唇の内側や歯茎①の状態を観察しましょう。
2.頬を指で軽く引っ張って頬の内面②を観察しましょう。
3.裏側の歯茎③を観察しましょう。
4.口蓋(上あご)④は少し上を向き色の変化を観察します。指で触れて、しこりや肥大の有無を確認しましょう。
5.舌の表面、左右の側面、上にあげて裏側⑤⑥と口腔底を観察しましょう。ガーゼやティッシュを巻いた指で舌を挟み、優しく引っ張るなどして異常がないか確認して下さい。

☑セルフチェック項目
口腔内の定期的なチェックと共に、日ごろから気を付けたいのが下記のような症状や状態です。
1つでも「ある」にチェックが入った人は、すぐに歯科医を受診しましょう。

①なかなか治らない「はれ」や「しこり」はないですか?
ない・ある
→口の中の肥大したところや触ってやや硬くなったりしているところは要注意です。

②粘膜が「赤く」なったり「白く」なったりしているところはないですか?

ない・ある
→粘膜が赤くなったり白くなったりしているのは「紅斑症」や「白斑症」かもしれません。どちらも前がん病変ですので要注意です。

③治りにくい口内炎はありませんか?
ない・ある
→口内炎は通常2~3週間程度で自然治癒することが多いです。1か月たっても治らないお口の中の荒れは要注意です。

④合わない入れ歯を無理して使っていて違和感がありませんか?
ない・ある
→がたついたり、噛むと痛みがある入れ歯を長期間使用しているとその刺激でがんが発生する可能性があるので要注意です。

⑤食べ物が飲み込みこみにくくなっていませんか?
ない・ある
→がんが広がり神経を圧迫すると見た目には変化がなくても、舌や頬の動きが悪い、しびれや麻痺があるなどの症状がでることがあります。要注意です。

まとめ

口腔がんの5年生存率は約60~80%とされています。
初期症状のうちに発見すれば、侵襲の低い治療で、後遺症がほとんど残ることなく、5年生存率は約90%以上であるという報告もあります。
しかし進行してしまったがんでは、手術により顎の骨を切除する必要性がある場合があります。
切除範囲が広いと食事や会話が困難になり、日常生活に大きな支障をきたすことになります。
だからこそ、早期発見が重要になります。
当院でも口腔がん検診を行っているため、少しでも気になっている方がいましたらスタッフにお気軽にご相談してください。
最後になりますが、5月より当院にて臨床研修をさせていただいておりました。
この5か月で学んだ事や感じたことを忘れずに、これからの歯科医師としての人生を歩んでいきたいと思います。
ありがとうございました。

歯科医師 岡村 梓文

参考文献
・国立研究開発法人 国立がん研究センター
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8090.html

・日本歯科衛生士会
https://www.jdha.or.jp/topics/health/c/153/

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